いちごスプーン


前回に続き懐かしいスプーンを取り上げてみる。昭和の食卓では、いちごに砂糖と牛乳をかけて、いちごスプーンのブツブツがついた平らな底でいちごをつぶして食べるのが定番であった。子供時代のオイラは、果肉を食べ終わった後に残るいちごミルクが美味しくて大好きだったのだ。  しかし、現在ではどこの家庭でもいちごスプーンを使うことが無くなり、食器入れの片隅に眠っている状態であろう。

先日いちごスプーンがテレビで特集されてたのを見て納得したのだが、昭和時代のいちごは酸っぱい品種で、そのままで食べるにはちょいとつらい果物であった。そこで、いちごをつぶしやすいようにと、新潟の会社が昭和35年に滑り止め付きのイチゴスプーンを製造販売し、年間30万本も売れたことがあったそうだ。現在は日本全国1社のみの製造で年間600本。需要の減った理由は昭和から平成に入ったころ、いちごの品種改良が進み甘くなったことで、潰さずそのまま食べるようになったからだそうだ。しかし、今だに製造していたことに驚いたのだが、どうも子育てママの間で、いちごスプーンでの離乳食作りが便利だと一定の需要があるらしい。使い方が変わっても、昭和の食器が使い続けられているのは嬉しいものである。