お早よう


日本映画界の巨匠・小津安二郎監督の「お早よう」は、昭和30年代前半の新興住宅地に住む家族たちの生活を、子供の視点を中心に描いた喜劇である。オイラが学生時代に銀座にあった映画館・並木座で見た懐かしい作品でもあり、NHK-BSの「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」の中でも放映されていた。


映画の中の子供達と世代が近いオイラにとって、フラフープをする姿など子供のころを思い出させるエピソードが数々あるのが面白い。当時テレビは家庭に普及しておらず、テレビを買ってもらえないことが不満で口をきかないストライキを起こす兄弟の姿は、オイラも似たような行為をしてたことを思い起こす。今では強要罪にあたる行為だが、強面の「押し売り」が玄関に上がり込みゴムひもや歯ブラシを売りつける場面は、当時の専業主婦を相手にする商売?を描いており、うちにも現実に来ていたのだ。昭和34年製作としては珍しいカラー映画で、当時の暮らしや風物が描かれている名作である。