ステレビジョン


昭和37年(1962年)ごろ、シャープ(早川電機)のカタログに、テレビとステレオが1台になった「ステレビジョン」という家電があった。正式名称は「シャープグランドステレビジョン」と言い、テレビ界最高のデラックス型!との宣伝文句である。当時の価格で84,800円、14型・4スピーカーステレオアンプ付テレビで、4スピード・ステレオプレーヤーが内臓されているものであった。ステレビジョンの発想は、当時から目の付けどころがシャープであったことを物語っているのだろう。 一昔前に「テレビデオ」、現在はオイラの家にもある「ハードディスク内臓液晶テレビ」と、テレビに他の機能を1台に集約した家電は場所を取らず便利なものである。

シャープは、創業者の早川徳次が1915年に「早川式繰出鉛筆」を発明し、商品名を「シャープ・ペンシル」としてヒットさせた。その名が現在の社名の由来になったことは有名である。関東大震災で工場が焼失し、大阪で再起を図った鉱石ラジオの発売が、家電メーカーになったきっかけのようだ。「早川電機」から「シャープ」に社名を変え、昭和30年代には日本の大手電機メーカーの一つとなったのだ。近年「液晶のシャープ」として一時代を築いたが、液晶にこだわり過ぎた経営の失敗で、外資系企業の傘下となってしまったのは誠に残念である。