旅行シリーズ

昭和42年(1967年)、当時の松竹映画社長が、東映の「列車シリーズ」を高評価していた。そこで松竹の正月映画に同様の映画をと、「列車シリーズ」を手掛けた瀬川昌治監督を誘って作られたのが「旅行シリーズ」である。主演はフランキー堺で、昭和43年~47年にかけて計11作が製作された。東映の「列車シリーズ」同様、松竹の「旅行シリーズ」もオイラが小学生のころに、東京12チャンネル(現テレビ東京)で日曜夜の日曜特別ロードショーでよく放送されていた。楽しみでよく観ていたが、何よりフランキー堺の芸達者でコミカルな演技が抜群に面白かったのである。

映画は、お人好しで女性に弱い鉄道員(フランキー堺)の巻き起こす騒動や、マドンナへの実らぬ恋心等が基本パターンとなっている。各作品に繋がりは無く、マドンナも作品ごと変わっており、当時人気のアイドル、お笑い芸人、歌手がゲスト出演してるのが見ものでもあった。多くの作品で伴淳三郎やミヤコ蝶々などベテラン喜劇俳優が味のある演技で脇を固めており、倍賞千恵子演じる女性が主人公を悩ます存在となっているのだ。国鉄協力の元、鉄道や全国の観光地でロケされており、昭和40年代の東北、北陸、近畿、九州などの観光地を楽しめる映画となっている。現在DVDとして発売されているのは2作品のみで、なかなかお目にかかれない隠れた名作?喜劇シリーズである。