電気釜



電気釜とは今でいう炊飯器のことで昭和初期頃から商品化されてたようだが、普及したのは昭和30(1955)年12月に東芝から発売された自動式電気釜の登場であった。当時、釜で米を炊く作業は、主婦にとって掃除、洗濯と同じく時間の取られる家事であったのだ。ところが電気釜の登場により炊飯作業が自動に変わり、主婦の家事労働にかかる時間が大幅に短縮したのである。

オイラの家にもこの東芝製の電気釜があり、毎日の食生活でお世話になっていた。幼い頃の記憶で、ご飯の炊き上がるころに蓋が水蒸気で上下にカタカタ動き出し、母親からこの力が蒸気機関車と同じ原理だと教えられたのを思い出す。ところが、いつしかオイラの家は電気釜でなくガス釜に変わっていたのである。電気では火力不足で美味しくなかったらしいのだ。現在の炊飯器はそんなことはないが、オイラは今だにガス炊飯器へのこだわりを持っている。何故かといえば、パンや麺類よりご飯の好きなオイラにとって、大規模停電になってもご飯が炊けるからである。